賃貸契約の際に発生する必ず発生するのが、初期費用です。初期費用は敷金や礼金、仲介手数料などまとまった金額が必要なため、多くの方ができるだけ抑えたいと考えます。そのため、払わなくても良いならありがたいと思う方も多いでしょう。そうした初期費用の中でも、支払いを避けられる項目があることを知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、賃貸の初期費用で払わなくていいものを解説します。また、初期費用を安く抑える方法や交渉のコツもあわせて紹介します。この記事を読めば、初期費用の削減方法が理解できるので、賃貸契約の出費をできるだけ抑えたい方はぜひ参考にしてみてください。

カルノリレンタカー株式会社 代表取締役
勇翔太
初期費用で払わなくてもいいものとは?
初期費用で支払いが必要ないものは、以下の5つが挙げられます。
- 書類作成費用
- 仲介手数料
- 安心サポート費
- 消臭・抗菌
- 簡易消火器
それぞれ詳しく解説します。
書類作成費用
書類作成費用の相場は1万〜3万円程度で、不動産会社に支払うものとされています。しかし、実際にはこの費用を支払う必要はありません。なぜなら、契約書や重要事項説明書の作成は不動産会社の業務の一環であり、本来は仲介手数料の中に含まれているからです。
そのため、契約書に「書類作成費用」などの名目で追加料金が記載されていた場合は、支払いの必要性を確認しましょう。「この費用は何に対するものか?」と具体的に尋ねるだけで、請求が取り下げられる場合もあります。不明瞭な費用にはしっかりと交渉し、不要な支払いを避けることが大切です。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産会社が貸主と借主の間で契約を仲介する際に発生する手数料です。宅地建物取引業法では、上限が家賃1.1ヶ月分までと決められています。そのため、もしこれ以上の請求をされた場合は、違法の可能性があるため注意が必要です。
また、仲介手数料は本来、貸主と借主が家賃の0.55ヶ月分ずつ負担するのが原則です。ところが、多くの不動産会社では借主が全額支払う契約になっています。これは必ずしも支払う必要があるわけではなく、交渉によって減額できる可能性があります。契約前にしっかりと確認し、余計な出費を抑えましょう。
安心サポート費
安心サポート費とは、入居後にトラブルが発生した際、24時間対応してもらえるサービスの費用です。相場は1万~2万円程度で、主に大家や管理会社に支払います。しかし、火災保険や賃貸保証会社のサポートと内容が重複することが多く、追加で支払う必要はほとんどありません。基本的にオプション扱いのため、交渉次第で外せる場合があります。
ただし、最近では「加入が契約の必須条件」となっているケースもあります。そのため、契約前にしっかり内容と契約条件を確認し、不要であれば断りましょう。
消臭・抗菌
消臭・抗菌コートの費用相場は1万~3万円程度で、大家や管理会社に支払うケースが一般的です。しかし、実際の作業内容は消臭スプレーを軽く吹きかける程度のこともあり、費用に見合った効果があるのか疑問が浮かぶのが現実です。
また、新しい入居者が決まる際に管理会社が最低限の清掃をするため、自分で掃除や換気をすれば十分対応できます。そのため、消臭・抗菌費用は交渉次第でカットできるでしょう。ただし、最近では消臭・抗菌費用の支払いを必須項目としている物件もあります。そのため、契約前に確認して、不要なら交渉してみるのがおすすめです。
簡易消火器
簡易消火器の費用相場は1万~3万円程度で、主に大家や管理会社に支払う形になっています。しかし、ほとんどのアパートやマンションでは共用部に消火器が設置されているため、個別に購入する必要はありません。
また、消防法では延べ面積150平方メートル以上の共同住宅に消火器の設置が義務付けられています。しかし、一般的な賃貸物件で150平方メートルを超える部屋はなかなかありません。
そのため、法律上も室内に設置する義務はなく、費用を請求された場合は交渉すれば外せる可能性があります。必要なら、自分で市販の安価な消火器を購入するのも選択肢の1つです。
初期費用で交渉次第で払わなくていいもの
交渉次第では、下記の初期費用を支払う必要がなくなります。
- 敷金
- 礼金
- 日割り家賃
- ハウスクリーニング
それぞれ詳しく見ていきましょう。
敷金
敷金は、大家に支払う保証金のようなもので、退去時の原状回復費用や家賃の不足時などに充てられるお金です。一般的には家賃の1~2ヶ月分を契約時に支払いますが、交渉によって減額やゼロにできる場合があります。
最近では「敷金ゼロ」の物件も増えているため、ほかの物件と比較して交渉すると効果的です。ただし、敷金を支払わない代わりに「クリーニング費用」や「修繕費用」などが別途請求される場合もあります。そのため、契約内容をしっかり確認することが重要です。
敷金は退去時に返金されることも多いため、初期費用を抑えたい場合は礼金や仲介手数料の交渉を優先するのもおすすめです。
礼金
礼金は、大家に対する謝礼として支払う費用で、退去時に返金されないお金です。相場は家賃の1~2ヶ月分と高額になることが多く、初期費用の負担を大きくする要因の1つです。しかし、物件によっては礼金を減額または免除できる可能性があります。1ヶ月分の礼金が無料になるケースもあり、交渉する価値は十分にあるでしょう。
ただし、礼金の交渉は大家が直接対応するのではなく不動産業者を通しているため、成功率は物件や交渉力に左右されます。より確実に初期費用を抑えたい場合は、仲介手数料の交渉を優先するのもおすすめです。
日割り家賃
日割り家賃とは、契約開始日から月末までの日数分を計算し、支払う家賃のことです。家賃10万円の物件に7月25日から入居する場合、8月1日までの6日分として約19,355円を請求されるケースがあります。
しかし、交渉次第では日割り家賃を免除してもらえるでしょう。特に、閑散期や長期間空室になっていた物件では大家が契約を優先するため、日割り家賃の支払いを免除することもあります。
そのため、入居時期の調整や不動産会社を通じて交渉することで、日割り家賃の負担を減らせる場合があります。日割り家賃の話を持ち出されたら、確認してみましょう。
ハウスクリーニング
ハウスクリーニング費用とは、入居前や退去時の清掃にかかる費用のことです。相場は5万円以上と高額ですが、敷金を支払っている場合、本来はそこから清掃費用が差し引かれます。そのため、追加で支払う必要はないケースもあります。
また、2020年4月の民法改正により、借主に過失がない場合は原状回復費用を請求できないと明確化されました。それにもかかわらず、敷金とは別にハウスクリーニング費を請求されることがあるため、その場合は交渉してみましょう。
ただし、強引な値下げ交渉は逆効果になります。あくまで丁寧な対応を心がけることが大切です。
\ 最大12社から比較するから最安がわかる! /
初期費用で必ず支払った方がいいもの
初期費用で支払う必要があるものは、下記の通りです。
- 火災保険
- 保証料
- 鍵交換費用
それぞれ詳しく解説します。
火災保険
火災保険は、火災や水漏れ・盗難・家具の損傷などのリスクをカバーするための保険で、賃貸契約時に必ず加入を求められます。費用相場は1万〜2万円程度で、家財や家電・PCの破損などもカバー対象になるため、思わぬトラブルにも対応可能です。
法律上、火災保険の加入は任意ですが、賃貸物件では契約条件として含まれていることがほとんどです。万が一の事故や損害に備えるためにも、必ず加入しておくことをおすすめします。一方、保険料が高いと感じる場合は、契約後に安価な保険へ切り替えることも可能です。
保証料
賃貸物件に住む際、多くの契約では連帯保証人を立てるか、保証会社を利用することが求められます。保証会社を利用する場合、保証してもらうための費用を支払わなければいけません。金額は家賃1ヶ月分程度が相場で、家賃が高い物件では負担が大きく感じることもあります。
保証会社に加入すると、家賃の支払いが滞った際に保証会社が代わりに支払う仕組みです。そのため、大家さんにとってもリスクが減り、安心できる契約が成立します。
連帯保証人を立てられない場合や、物件側が特定の保証会社を指定している場合もあるため、支払いは避けられません。コスト削減を考慮する際も、この費用を避けることは難しいため、しっかりと支払いましょう。
鍵交換費用
鍵交換は、前の住人が使っていた鍵をそのまま使うのは防犯面で不安が残るため、基本的には交換しましょう。費用相場は2万〜3万円で、大家さんまたは管理会社に支払うことになります。
実際には、鍵交換は法的に必須ではありませんが、安全面を考慮すると交換する方が安全です。前の住人が多くの人と関わっていた場合や、古い鍵が使用されている場合は、セキュリティ面でのリスクが高くなります。
もし、過剰な金額を請求された場合は理由を確認し、納得できない場合は交渉することが大切です。鍵交換費用は必要経費として考え、安全に新生活を始めるために支払っておくべき項目です。
初期費用の相場
賃貸物件を契約する際の初期費用は、家賃の4〜6ヶ月分が目安とされています。そのため、物件を探す際は「家賃だけでなく、総額でどのくらいの費用が必要になるか」を考えることが大切です。
例えば、初期費用の予算が20万円の場合、家賃3.3万〜5万円程度の物件が目安になります。一方で、40万〜50万円の予算があれば、6.6万〜12.5万円の物件も視野に入るため、選択肢が広がるでしょう。
初期費用の内訳としては、以下の項目が含まれます。
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 保証料
- 火災保険料
- 鍵交換費用
これらの費用の中には交渉可能なものもありますが、安全な入居のために支払うべき項目もあります。無理に削減しすぎず、バランスを考えて予算を決めることが重要です。事前にしっかり計画を立てて、自分に合った物件を選びましょう。
初期費用の内訳
初期費用の多くは、賃貸契約に関わる費用です。家賃によって変動しますが、一般的に30万~40万円程度が必要とされています。
初期費用の主な内訳は以下の通りです。
費用目安 | |
---|---|
敷金・礼金 | 家賃の1ヶ月分 |
仲介手数料 | 最大1ヶ月分 |
前家賃 | 家賃の1ヶ月分 |
日割り家賃 | 日割り計算 |
賃貸保証料 | 家賃の0.5~1ヶ月分 |
鍵交換費用 | 1~2万円 |
火災保険料 | 1~2万円 |
消毒料 | 1万円 |
費用の目安は物件によって異なるため、必ずどういった費用が必要かを契約前に確認しましょう。初期費用を提示されても交渉できる部分はないかを模索し、不動産会社に相談してみることで、支払い額を抑えられる場合があります。そのため、提示された金額を鵜吞みにせず、必要性を検討しましょう。
賃貸の初期費用を安く抑える方法
賃貸の初期費用を安く抑えるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 敷金礼金ゼロの物件を選ぶ
- フリーレント物件を選ぶ
- 金額の比較と交渉を行う
- 仲介手数料の安い不動産屋を選ぶ
- 月初に入居する
- 連帯保証人のみで入居できる物件を探す
- 閑散期に契約する
それぞれ詳しく解説します。
敷金礼金ゼロの物件を選ぶ
初期費用を抑えたいなら、敷金・礼金ゼロの物件を探すのがおすすめです。
敷金・礼金はそれぞれ家賃1ヶ月〜2ヶ月分が一般的なため、この2つがゼロの物件を選ぶだけで、初期費用を大幅に減らせます。例えば、家賃が10万円なら最大20万~40万円も節約になるでしょう。
近年、入居者を集めるために敷金・礼金ゼロの物件が増えており、賃貸サイトの検索フィルターを活用すれば簡単に見つかります。ただし、退去時の原状回復費用が高めに設定されていることもあるので、契約内容はしっかり確認しましょう。
フリーレント物件を選ぶ
フリーレント物件を選ぶのも、初期費用を抑える方法の1つです。
フリーレントとは、一定期間の家賃が不要な制度のことで、1ヶ月分の家賃が無料になるケースが一般的です。物件によっては、日割り家賃が無料になる場合もあり、初期費用を大幅に削減できます。
特に、5〜8月や11〜12月などの引っ越しの閑散期には、フリーレント物件が増える傾向があります。そのため、時期をずらして探すとよりお得な物件が見つかるでしょう。
金額の比較と交渉を行う
初期費用を安く抑えるには、相見積もりと交渉が重要です。
敷金・礼金ゼロやフリーレント付きの物件でも、別の費用が高く設定されているケースがあります。例えば、仲介手数料や鍵交換費用が相場より高めに設定されていることもあります。
そのため、複数の不動産会社から見積もりを取り、比較しながら交渉することが大切です。ただし、一部の費用は交渉が難しい場合もあるため、交渉可能な項目を見極めることがポイントです。
仲介手数料の安い不動産屋を選ぶ
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶことで、初期費用を大幅に抑えられます。
賃貸物件は、国が運営する「レインズ」を基に紹介されています。そのため、どの不動産会社でも扱える物件に大きな違いはありません。仲介手数料が安い業者を選んでも、希望の物件は見つかります。
最近では、仲介手数料が無料または半額の不動産会社も増えています。1つの不動産会社に縛られるのではなく、近隣の業者の仲介手数料を確認してみましょう。
月初に入居する
月初に入居すると、日割り家賃と前家賃を抑えられるため、初期費用を安くできます。
賃貸契約では、入居月の家賃を日割りで計算し、さらに翌月分の前家賃を一括で支払うのが一般的です。例えば、15日に入居すると、その月の半月分の家賃に加え、翌月分の家賃1ヶ月分も支払う必要があります。そのため、合計1.5ヶ月分が初期費用としてかかります。
しかし、月初の1日に入居すれば日割り家賃が発生せず、前家賃も不要になるケースがあるため大幅な節約が可能です。まとまった初期費用を抑えたいなら、契約時に入居日を調整するのも1つの方法です。
連帯保証人のみで入居できる物件を探す
保証会社の利用を避け、連帯保証人を立てることで初期費用を抑える方法もあります。
賃貸契約では、多くの物件で保証会社の加入が義務付けられており、家賃0.5~1ヶ月分の保証料がかかるのが一般的です。しかし、親族を連帯保証人にできる物件なら、保証料を節約できます。
ただし、2〜3親等以内の親族が条件になることが多く、頼めそうな親族がいなければこの方法は使えません。さらに不動産会社が保証会社の利用を必須としている場合もあるため、事前に確認が必要です。交渉が可能なら、連帯保証人制度の活用を提案してみると良いでしょう。
閑散期に契約する
賃貸市場には繁忙期と閑散期があり、契約のタイミングによって初期費用を抑えられる可能性があります。
1~3月の新生活シーズンや9~10月の転勤シーズンは繁忙期にあたります。入居希望者が増えるため、家賃交渉が難しく、敷金・礼金の割引も少ないでしょう。
一方で、4~8月や11~12月の閑散期は空室対策としてオーナー側が柔軟な対応を取る傾向があります。初期費用の交渉がしやすくなるため、お得に契約できるチャンスです。
\ ライフライン手続きを無料で代行! /
初期費用の工面が難しい場合の対処方法
初期費用の準備が難しい場合は、下記の対処方法を参考にしてください。
- 大家さんと交渉する
- 分割で支払う
- 初期費用以外の部分で費用を抑える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大家さんと交渉する
初期費用の準備が難しい場合は、大家さんや不動産会社に交渉することで負担を軽減できる可能性があります。
交渉のポイントとして、「仲介手数料」は不動産会社、「敷金・礼金」は大家さんと話し合うことが重要です。仲介手数料には法律で上限がありますが、下限は決まっていないため、値下げに応じてもらえます。
礼金は、大家さんの判断で調整できることが多いため、交渉できるケースは珍しくありません。「即入居する」「長期間住む予定」などの条件を提示することで、減額に応じてもらえるケースもあります。
ただし、すべての大家さんが交渉に応じるわけではありません。物件の空室状況や市場の動向を踏まえて交渉することが大切です。
分割で支払う
初期費用の負担が大きいと感じた場合は、分割払いを利用できるか確認してみましょう。分割払いが可能な物件や不動産会社を選べば、一括での支払いが難しくても入居しやすくなります。
一般的な方法は、クレジットカードを使った分割払いです。最近では、初期費用の分割払いに対応している物件も増えており、不動産会社が提携する決済サービスを利用できる場合もあります。
ただし、すべてのカードが使えるわけではないため、事前に対応ブランドを確認しておくことが重要です。一部の大家さんや管理会社では、個別に相談すれば現金での分割払いに応じてもらえることもあります。
初期費用以外の部分で費用を抑える
新居への引越しには、物件の初期費用だけでなく、引越し費用や家具・家電の購入費用もかかります。これらのコストを工夫して抑えることで、トータルの出費を軽減することは可能です。
引越し費用は、荷物の量や時期、距離によって変わります。3~4月の繁忙期は料金が高くなるため、可能であれば閑散期に引越すのが理想です。また、荷物を減らすことで業者の作業量を減らし、費用を抑えられます。
家具・家電はすべて新品で揃えると高額になるため、リサイクルショップやネット掲示板を活用し、中古品を探すのもおすすめです。また、最低限必要なものから順番に揃えることで、一度に大きな出費をせずに済みます。
\ 最大12社から比較するから最安がわかる! /
初期費用の交渉をする際のコツ
初期費用の交渉をする際のコツは、以下の通りです。
- 交渉相手を正しく把握する
- 初期費用の上限を伝える
- 交渉が成立したら必ず契約する
- 交渉にはリスクがあることを意識する
- 適切なタイミングで交渉する
- メールを活用する
それぞれ詳しく解説します。
交渉相手を正しく把握する
初期費用の交渉を成功させるには、誰に交渉すべきかを正しく把握することが重要です。賃貸契約に関わる費用はさまざまで、それぞれの決裁権を持つ相手が異なります。
例えば、敷金や礼金の減額を希望する場合は、大家さんの承諾が必要です。ただし、直接交渉するのではなく、不動産会社を通じて相談するのが一般的です。
一方、仲介手数料は不動産会社の収益となるため交渉が難しいケースもありますが、一部減額してもらえる可能性もあります。鍵交換費用や火災保険料などは管理会社が設定していることが多く、交渉できるかどうかは物件ごとに異なります。
初期費用の上限を伝える
初期費用の交渉をスムーズに進めるためには、あらかじめ上限額を明確に伝えておくことが大切です。物件を決めた後で交渉すると、審査の優先順位が下がる可能性があり、希望の物件を逃してしまうこともあります。
そのため、交渉は申し込みの段階ではなく、部屋探しの段階で条件を伝えるのが理想的です。具体的な条件を不動産会社に伝えておくことで、無理なく交渉できる物件を提案してもらえます。
ただし、敷金・礼金ゼロの物件は、保証料や退去時の費用が高く設定されているケースもあります。そのため、総額で比較しながら慎重に選ぶことが重要です。
交渉が成立したら必ず契約する
初期費用の交渉をする際は、交渉成立後は必ず契約を前提で進めることが重要です。賃貸契約の交渉には大家さんや管理会社、仲介会社など複数の関係者が関わっており、条件変更にはそれぞれの了承が必要です。そのため、交渉後にキャンセルすると関係者に迷惑をかけるだけでなく、今後の信用にも影響を及ぼしかねません。
特に、保証会社の審査は情報を共有しているため、交渉後のキャンセルが続くと審査に通りにくくなる可能性もあります。場合によっては大家さんが実損を被ることになり、損害賠償を請求されるリスクも考えられます。
交渉にはリスクがあることを意識する
初期費用の交渉をする際は、リスクを十分に理解しておくことが重要です。大家さんは入居者の支払い能力を慎重に審査します。そのため、初期費用の減額を求めると「家賃の支払い能力が低い」と判断される可能性があります。その結果、契約自体が見送られることもあり得るため、安易な交渉は避けるべきです。
また、設備の追加や変更を交渉する場合も注意が必要です。例えば、エアコンの設置などの工事が進んだ後に申し込みをキャンセルすると、大家さんに実損が発生することになります。このような場合、損害賠償請求を受けるリスクも考えられるため、交渉は慎重に進めましょう。
適切なタイミングで交渉する
初期費用の交渉を行う際は、必ず賃貸契約の前に話をまとめましょう。なぜなら、契約を結んでしまうと、契約内容に沿って、各種費用を支払わなければいけなくなるからです。
契約の前であれば、柔軟に交渉に応じてもらえる可能性があります。ただし、あまり強気に交渉すると相手をされなくなるため、お願いする立場をとることが重要です。
地域でも大きな不動産会社だと、交渉に応じてもらえないこともあります。小規模で長年営業しているような不動産会社であれば、交渉に応じてもらえることもあるため、そういった業者を探してみましょう。
メールを活用する
初期費用の交渉では、メールを活用することで精神的な負担を減らし、スムーズなやり取りが可能になります。直接の対面交渉は心理的なプレッシャーがかかりやすく、特に値下げの話を切り出すのは困難です。しかし、メールであれば冷静に希望を伝えやすく、交渉が苦手な人でも安心して進められます。
また、やり取りが文章として残るため言った・言わないのトラブルを防ぎ、後から条件を確認する際にも役立ちます。さらに、複数の不動産会社と交渉する場合も、メールなら各社の見積もりや条件を比較しやすいのがメリットです。
初期費用の交渉をするデメリット
初期費用の交渉には、以下のようなデメリットがあります。
- 交渉がまとまるまで時間がかかる
- 忙しい時期は交渉が困難
- やりすぎると審査に落ちる可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
交渉がまとまるまで時間がかかる
初期費用の交渉は成功すれば費用を抑えられるメリットがありますが、その分契約までの時間が長くなります。
通常、交渉をせずに契約を進める場合は注意事項を確認し、契約書を交わせばスムーズに手続きが完了します。しかし、交渉をすると不動産会社とのやり取りが増え、条件の調整や大家さんの承諾を得るために時間がかかるでしょう。
繁忙期や人気の物件では、交渉中に他の申し込みが入ってしまい、契約ができなくなるリスクもあります。また、交渉を続けることで精神的な負担も大きくなり、結果的に納得のいく契約ができても疲れてしまうこともあるでしょう。
忙しい時期は交渉が困難
引っ越しシーズンとなる3月・4月の繁忙期は、初期費用の交渉が難しくなる時期です。この時期は、進学や転勤などで物件の需要が急増し入居希望者が多くなるため、不動産会社や大家さんも強気の対応が取れます。
人気の物件であれば、交渉を持ちかける前に他の入居希望者が契約することも珍しくありません。そのため、不動産会社も1件1件の交渉に時間を割く余裕がなく、交渉自体を断られる可能性があります。
一方、7月・8月の閑散期は引っ越しをする人が減り、物件が長期間空室になるリスクを避けるため交渉が成立しやすくなります。
やりすぎると審査に落ちる可能性がある
初期費用の交渉は慎重に行わないと、審査に落ちる原因になることがあります。過度な値引き交渉をすると、不動産会社や大家さんに「この人は家賃の支払いが滞るかもしれない」と不安を抱かせてしまうからです。
また、「入居後のトラブルが多そう」と判断され、契約を避けられる可能性もあるでしょう。家賃保証会社の審査では過去の取引情報が共有されることもあるため、一度信用を失うと今後の契約にも影響を及ぼしかねません。交渉をする際は、相手にとってもメリットがある提案を心がけ、常識の範囲内にすることが大切です。
初期費用に関するよくある質問
ここでは、初期費用に関するよくある質問にお答えしていきます。初期費用に関して疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。
賃貸の初期費用は断れますか?
初期費用の中には、断れるものと断れないものがあります。敷金・礼金・前家賃・保証会社利用料などの基本的な費用は、交渉しても大家や管理会社に断られる可能性が高いでしょう。
一方で、消臭抗菌施工費や害虫駆除などのオプション的な費用は交渉の余地があります。不動産会社に「契約に必須かどうか」を確認し、不要なら削除を依頼しましょう。ただし、大家や管理会社が必須としている場合は、直接交渉が必要です。
賃貸の初期費用で交渉できる項目はどれですか?
賃貸契約時に支払う初期費用の中には、以下のような交渉次第で減額や免除を期待できる項目があります。
- 敷金
- 礼金
- 日割り家賃
- ハウスクリーニング
敷金は不要としている物件も増えており、減額や免除を相談できるケースがあります。礼金は地域や物件によっては交渉が可能です。ただし、すべての物件で交渉できるわけではなく、人気物件や繁忙期は交渉が難しくなる点に注意が必要です。交渉する際は、適度な範囲で交渉しましょう。
まとめ
この記事では、賃貸の初期費用で払わなくていいものや初期費用を安く抑える方法・交渉のコツを解説しました。賃貸契約時に支払う初期費用の中で、交渉可能な項目や不要な費用を削減する方法があります。
礼金や仲介手数料、消臭抗菌施工などは交渉次第で安くできる可能性がありますが、敷金や前家賃は必須項目のため注意が必要です。また、交渉の際には、メールでのやり取りや適切なタイミングで交渉することが大切です。
この記事を参考に、賃貸契約時の初期費用を賢く抑えるために交渉し、無駄な費用を減らしていきましょう。